形成外科コラム
耳ケロイド手術(ピアスによるケロイド)の症例 (保険治療)
2024年09月09日
左右耳垂のケロイドに対し、耳介形成術と皮弁作成術を行った症例です。
右耳は約3㎝大ありました。ケロイド部分と一部耳介を含めて切除し、耳介再建を行いました。ピアス穴の温存を希望され、右は残すことができました。
左耳は右よりも大きく3㎝以上ありました。皮膚の伸展が大きく、左右のバランスを整えるためピアス穴を残さずに切除しました。
創部が落ち着いたら、今後ピアス穴作成を予定しています。
当クリニックでは、術後の創傷治癒を促すため、漢方薬を処方しています。
基本的には2種類(治打撲一方と柴苓)処方しますが、本症例では、肝機能がやや高値だったため、柴苓湯のみ処方しています。
柴苓湯は傷のむくみや腫れを抑え、ケロイドを予防します。
手術1週間後では、触れると痛む程度の痛みがあり、左耳のみテーピングを1週間行いました。
手術1か月後では傷は目立たなくなっています。右耳がやや硬いと自覚があります。
ケロイドができやすい体質ではないので、柴苓湯を術後半年ほど内服し再発がないか経過観察をしています。
ケロイドの兆候があれば、ケナコルトの注射をすることもあります。
ホクロなどの皮膚腫瘍切除よりは再発の可能性が高いので内服はしっかり継続していただけるようご説明しています。
ケロイドは、傷が治る過程で炎症が持続し、組織の異常な増殖が生じることによって、赤く盛り上がっていく疾患です。
ニキビやピアスの穴などのごく小さな傷から発生することも多く、発症には遺伝や体質も関与していると考えられています。
痛みやかゆみ、ひきつれ感を伴うこともあり、目立ちやすい見た目であるため、精神的な負担が生じることもあります。
当クリニックでは形成外科専門医が見た目にもこだわり、丁寧な治療を行っています。術後のフォローもしっかりとしております。
気になっている方はご相談ください。